「風のサーガ?」

 子供からの応えはなかった。
 微かに耳に届いたのは、穏やかな寝息。

 長い首を廻らせると、子供は翼の付け根に腕を引っ掛けた
 非常に不安定な状態で居眠りをしている。

 普段、この背に乗せて空を飛べば、涙やら鼻水やらを盛大に流しつつ
 「降ろせ」だの「怖い」などと喧しく騒ぐくせに。
 そんな場所で、そんな格好で、暢気に眠っている子供。

 「…落っこちても知らねーぞ…」

 呆れたように溜息をつきつつも

 背中の小さな温もりになんだか擽ったいような気分になって

 苦笑混じりにもうひとつ溜息を零した。

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