| さぁ、ゲームをはじめようか。 ◆大追跡◆ 「…なんだって?」 エドワードの口を突いて出た言葉は、怒っているようでも呆れているようでもあった。 その言葉を苦々しい表情で受け止めたマスタング大佐は、やはり苦々しい声色で、 ゆっくりと先程エドワードに伝えた言葉を繰り返した。 「…だから、『猫を探して欲しい』と云っているのだが。」 云いながら、左手で顳顬を押さえて溜息をついて。 …溜息をつきたいのは寧ろエドワードの方である。 久方ぶりに訪れたイーストシティ。 東方司令部まで挨拶に行ったまでは良かったが、人の顔を見るなり 『猫を探せ』と来たもんだ。 一体何の冗談だと云わんばかりのエドワードの視線を受けて、 大佐はまたも深い溜息をついた。 「…我々とて好き好んで猫探しなんぞしてる訳ではないのだよ、鋼の。 多少込み入った事情があって、今は豆の手でも借りたいほど忙しいんだ。」 「豆云うナ――!クソ大佐――ッ!!」 2人が挨拶代わりとも云える口喧嘩を始めたので、 アルフォンスはホークアイ中尉に事情を尋ねることにした。 「込み入った事情ってなんですか?」 「…最近、この辺りで泥棒騒ぎが多発してたんだけど」 「泥棒…ですか?」 「そう、泥棒。政府の高官の屋敷やら、有名な美術館やらでどんな警備も ものともせずに必ず盗み出すの。…これが中々鮮やかな手口でね。 毎回予告状を送りつけて、その通りに盗んでいくの。捜査も難航してて、 未だに分かっているのは性別と推定年齢と『キャットウォ―ク』って云う通り名だけ。」 「はぁ…。怪盗ナントカ…みたいですねぇ。」 「そんな呑気なモンじゃないぜ、アル。奴さん、窃盗だけじゃなく 殺人も常習なんだ。警備員が何人も殺されてる。」 アルフォンスの発言に、こちらも矢張り溜息をつきながら。 ハボック少尉が会話に加わってきた。 …因みに大佐とエドワードはまだ口論中だったりする。 「それは…穏やかじゃないですね。でも、それと猫探しはどういう…?」 「問題は、1週間前に届けられた予告状だったの。 …軍部宛てに、機密書類を頂戴します、ってね。そして予告通り…」 「盗まれた?」 「そう。けど、実はもう犯人は確保しているのよ。」 中尉の言葉に、アルフォンスは首を傾げた。 犯人は捕まっているのに、問題は未解決。と、云う事は…。 「機密書類、出てこないんですか?」 「ご名答。それが例の、猫探しに繋がるワケ。」 これがまた面倒な話なんだよと、少尉は煙草を咥えながら呟いた。 ―――そして話は3日前。 『キャットウォーク』逮捕の瞬間に遡る。 |