性別:男 推定年齢:30代後半 身長:約175cm それが最近世間を騒がせている強盗殺人犯、 『キャットウォーク』の外見特徴である。 彼はご丁寧にも、盗みに入る場所へ予告状を送りつけ、 その予告通りに目的を達成する。 どれほど警備の目を光らせていても、その隙をスルスルと掻い潜る。 そして彼の障害となる物があれば、容赦なく壊す。 …例えそれが人間であっても。 どれだけ追いかけても、どれだけ探しても見つからなかった彼が、 何故か今回だけは。 アッサリと捕まったのである。 まるで捕まえてくれと云わんばかりの、痕跡を残しまくった逃走。 潜伏場所として使っていたらしい、古い古いアパートの1室で。 彼はまんまと軍に捕まった――いや、捕まえさせた、のである。 包囲していた憲兵達が彼の部屋に突入した時、 窓から1匹の猫がするりと逃げていった。 身柄を確保された『キャットウォーク』は、抵抗する様子も無く。 自分を取り囲む憲兵達を見上げて、大層愉快そうに口の端を歪め。 「…さぁ、ゲームをはじめようか?」 一言、そう云ったのだ。 「ヤツの自供によると、その時逃げた猫の首輪に書類を隠したんだそうだ。」 大佐はこれ以上ないくらい深い溜息をつきながら云った。 何だか憂鬱な気分がこちらにまで伝染しそうで、エドワードはさり気なく大佐から距離をとった。 「で、東方司令部総動員で探してるのに、未だに捕まらないって訳か?」 呆れたように云うエドワードに、少尉が沈んだ声で抗議した。 「普通の猫だったらこんなに梃子摺ったりしねーって…。」 「普通の猫じゃないんですか?」 鸚鵡返しに問うアルフォンスに、中尉もやや疲れた声で応える。 「…極めて知能は高いわね。こちらが用意した罠には全く引っかからないし、何だか 人間を見下しているようにも見えるわ。」 「見下すって…まさかぁ。たかが猫だろ?そんな大げさな。」 「…いや、確実に見下しているな。というより、我々をからかって遊んでいるんだ、アイツは!」 珍しく声を荒げる大佐に、エドワードは肩を竦めた。 どうやら一筋縄ではいかない相手のようである。 「その猫はね、度々私達の前に現れては、捕まえてみろとばかりに逃げていくの。 こちらの仕掛けた罠を掻い潜ってね。」 「…逆に人間が引っかかってるんだよ、自分達の仕掛けた罠に。 それをアイツは、塀の上で楽しそうに眺めてるんだぜ?」 「我々が人のいる場所で麻酔銃が使えないのを知っていて、態と人込みに紛れるんだ。 この街の脇道やら抜け道も網羅していて、どこにでも現れるし、どこにでも逃げられる。」 全く厄介な相手だと、大佐は頭を抱えながら本日何度目かの深い溜息をついた。 「…でもさ、そんなんだったらその『キャットウォ―ク』とやらに協力させればいいじゃん。 そいつの猫なんだろ?大人しくさせる方法とかあるんじゃねーの?」 「それは我々も考えたんだがね。断られたよ。」 「…断られた…って。」 なんだそりゃ。 「『キャットウォーク』曰く、『彼女』は友人であってペットではない、そうよ。 それに普通の猫より気まぐれで、『キャットウォーク』にも懐いていたわけじゃないようね。」 元来、猫というのはあまり人に懐かず、気まぐれな生き物である。 普通の猫より更に上を行く気まぐれさ。そして高い知能。 「…うー…まぁ、確かに厄介そうだなぁ…」 困ったようにアルフォンスを見上げると、アルフォンスも困ったように エドワードを見下ろしていた。 軍人総動員で追いかけてもダメ、罠を仕掛けてもダメ。 オマケに機密書類絡みなので、民間人の協力も得られない。 当然、銃火器の使用は禁止。市街に被害を出せないため、当然派手な錬金術だって使用禁止。 そんな状況で自分達が捜索に加わったとしても、果たして役に立つのだろうか? しかし、大佐も中尉も少尉も、見事に疲れきっている。 いつも何だかんだ云いつつ、世話になっている人達だ。放ってはおけない。 「…まぁ、役に立つかどうかは分からないけど…」 とりあえず、手伝うよ。 こうしてエルリック兄弟は、『東方司令部捕物帖』に参戦する事になった。 |