捜索隊は大佐・中尉・少尉の東方司令部チームと
  エドワード・アルフォンスの兄弟チームの二組に分かれた。
  一行は問題の北区に到着すると、当初の予定通り二手に分かれて
  捜索を開始した。

  「とにかく常に連絡を取り合おう。街の地図はしっかり頭に叩き込んだな?」

  こくりと頷く兄弟の顔を確認するように伺いつつ、大佐が言葉を続ける。

  「発見次第、正確な位置を知らせる事。何度も云うようだが――」

  「派手な錬金術は使用禁止、だろ。分かったからさっさと捜索始めようぜ」

  大佐の言葉も終らぬうちに、エドワードが云った。
  露骨に不機嫌絶頂な表情をしている彼は、大佐とは目を合わせようともしない。
  二人の間に、妙にギスギスした空気が流れているのは。
  現場に出発する前の、些細な会話が原因だった。





  「鋼のは、私と一緒に来たまえ。」

  小一時間ほど前の東方司令部。
  そこでは今、白猫捕獲のためのチーム編成会議(?)が行われていた。

  開口一番「一緒に来い」と云った大佐に、エドワードは徐に不満を述べた。

  「…なんでオレが大佐と一緒なんだよ。」

  「不満なのかね?」

  「不満だね。普通に考えてもオレと組むのはアルだろ。」

  「…いいじゃない兄さん。偶には違う人と行動しても」

  何となく微妙に大佐の心情を感じ取ったアルフォンスが割り込めば、

  「よくないだろ、事が事なんだから。息の合うヤツと組んだ方が
  いいに決まってるじゃないか。」

  エドワードはスッパリとそれを斬って捨てた。
  これは大佐も面白くなかったようで、少々挑発的に言葉をかける。

  「私とでは息が合わないとでも?」

  「合わないね。」

  エドワードはじろりと大佐を睨みつけ、即答した。

  「そんなの、やってみなくちゃ分からないよ…?」

  尚も云い募るアルフォンスに、しかしエドワードは

  「
合わない!合うわけないだろ、相手は大佐だぞ!?」

  即答&断言して見せた。

  「…大佐…お気の毒…」

  ぼそりと呟く少尉をきっと睨みつけた大佐の目は少し涙目だったという。




  そんな事があって、今エドワードの機嫌はすこぶる悪い。
  大佐と二人で行動なんてした日には、一体どんな嫌味を云われるのやら。
  小さいだの、豆粒だの、牛乳飲めだの。そんな事を延々と
  云われ続けるに違いない。エドワードはそう思っていた。
  全くと云っていいほど男心を理解して貰えなかった大佐は、
  さっさと背を向けて歩き出したエドワードを未練がましく見つめていた。

  「…大佐、こっちも行動開始しましょうや。」

  いつまでもエドワードが歩いていった方角を見つめている大佐に、
  溜息混じりで少尉が声をかける。
  それでも振り向かない大佐に、

  「これ以上ここに居ても問題は解決しない所か、エドワード君に今以上に
  無能だと思われる事になりかねませんが、それでもまだここに残りますか大佐?」

  中尉は微笑みながら、容赦なく現実を突き付けた。
  あまりといえばあんまりな中尉の言葉に、しかし大佐は反論できる訳もなく。

  「…分かった。我々も行こう…」

  些か情けない声で、行動開始の合図を送ったのだった。

  

  


 

 

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